181228_東海愛知新聞連載特別編
地元、東海愛知新聞にて毎月第3金曜日に「聞こえのために。」という連載を5年以上書いています。聞こえのために。では主にでデコ補聴器や補聴器と難聴について書いてきました。連載を続けていく中で、

なぜ補聴器のイメージがメガネの様な一般的なものにならないのか?

補聴器だけでなく、難聴、障がい、福祉という広い視点でなにか自分が公的な新聞にて社会に伝える、考えて頂くきっかけにできないか。と今年は考えることが多くありました。

毎月の連載ではなく、今自分(認定補聴器技能者)の立場で社会に一石まではいかないですが、広い意味での福祉や聞こえについて来年も定期的に書いていきます。

聞こえのために特別編①『笑顔は世界を変える!』

本当は補聴器つけたくない。


10年ほど前、小学生当時難聴の女の子がそう呟きました。

2006年に父が営む補聴器専門店あいち補聴器センターに入社し、補聴器を通じて日々、お子様かご年配の方の聞こえのお手伝いをしております。

『補聴器をつけて40年ぶりに時計の秒針が聞こえた。』

『家族と再び笑顔で話せるようになった』

など多くの喜びの目の辺りにして、聞こえを取り戻す素晴らしさを実感します。

その反面、補聴器は恥ずかしい、かっこ悪いわるい、に立てない。といったネガティブなイメージが付きまといっていることも承知していました。

『聞こえの役に立てる』

という喜びと、補聴器のネガティブなイメージのはざまで、冒頭の女の子との出会いがありました。

補聴器が必要なものはわかっている。でも補聴器はかっこよくないし、クラスでいじめられるかも。だから本当はつけたくない。

心の葛藤に苦しむ悲しそうな表情が脳裏に焼き付きました。

このままのイメージでいいのか。そんな疑問を抱く。帰って来て自宅のテレビの特集を目にしました。携帯電話やデジタルカメラをキラキラに。飾ったデコレーションが中高生に人気。

稲妻が走るとはこのことでした。


デコレーションならば補聴器もおしゃれになるはずだと確信しました。すぐに知人のネイリストに連絡し、補聴器をデコレーションしてほしいと依頼。デコレーション補聴器。つまりデコ補聴器の試作品が出来上がったのは1週間後のこと。

それから3ヶ月間、自ら毎日でデコ補聴器をつけて装用に痛みはないか、ラインストーンなどパーツはとれないかなど、実用性を確認した上で冒頭の女の子にデコ補聴器を紹介してみました。

補聴器デコレーションすると、逆に目立ってしまうので最初は戸惑いましたが、

『どうせ補聴器をつけながらやっぱりオシャレにしてみたい!』

とデコレーションを決意してくれました。

『わぁかわいい!これなら(補聴器を)つけたくなる!』

完成したデコ補聴器に笑顔がはじけました。
デコ補聴器を使い始めた女の子は親友に補聴器を使っていることを打ち明けた。そうしたら、

『知っていたよ。話してくれてありがとう』

と言ってくれた。それから、

『私(親友は補聴器)を使ってないけど、〇〇ちゃんみたいにオシャレになりたいからデジタルカメラをデコレーションするね』

って言ってくれた。と笑顔で溢れてました。そんな女の子の髪型はポニーテール。耳(補聴器)を出しているのを初めて見ました。

難聴者・難聴児の多くは補聴器に恥ずかしい、できるだけ隠したいという気持ちを抱いているのが現実です。しかし視力が悪ければ眼鏡をつける、難聴なら補聴器をつけるどちらも同じことです。

ファッション意識した様々なデザインのメガネがあるように、補聴器もかわいい!カッコいい!見た目になることで、見られたくないものから見せたいものに変わり、前向きで豊かな生活に繋がっていきます。

笑顔になってもらいたい。デコ補聴器はそんな思いの象徴でもあります。

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最後にデコレーションされた30代の女性の方の感想ご紹介いたします。


『デコ補聴器は自分がプラス思考になるだけでなく、健聴である娘の影響も大きいと思ってます。いつか物心ついた娘がオシャレな補聴器をつけるママと一緒に歩くのが楽しいと思ってくれることを願っています』
すべては『聞こえ』のために!!